モルモットについて

現在世界中で育てられているモルモットたちは、“ペルーテンジクネズミ”、“パンパステンジクネズミ”のどちらかを、人間が家畜化した種類です。もともとモルモットは、南米に住むインディオたちに、食用として育てられてきました。そして実験動物としても世界中で飼育され、現在では外見の可愛らしさ・育てやすさから、ペットとして愛されるようになったのです。さらに、最近では“スキニーギニアピッグ”という体毛の少ない種類がペットとして登場し、ショップなどで“手のりブタ”などと称されることもありますが、モルモットの改良品種です。
そのほかにも、短毛や長毛、短毛・長毛でも、毛質が縮れているタイプなど、モルモットは色・毛質ともにさまざまな品種が存在しています。皆さんがよく見かける種類は、“イングリッシュ(ショート)モルモット”、“アビシニアン(巻き毛)モルモット”です。
平均寿命は6~7年といわれていますが、それ以上生きた例もたくさんあります。逆に体質が弱かったり、病気などで長生きできない場合もあります。いずれにせよ、モルモットが幸せに天寿をすごせるように、飼い主さんは大切に育ててください。

飼育セットをそろえる

モルモットを迎える前に、育てるために必要なセットを用意し、用品ひとつひとつの用途を把握しておきましょう。

飼育セット

  • ケージ
  • 床材
  • 吸水器
  • ビタミン剤
  • 主食
  • 補助食
  • 牧草
  • 野菜・果物
  • エサ入れ
  • 牧草フィーダー
  • かじり木
  • 隠れ家
  • 飼育本
  • ヒーター

どんなごはんをあげたらいいの?

生後約2~4週のベビーたちは、食事の内容も多少異なります。とくに離乳期に入ったばかりのベビーは、ソフトタイプのフードを少々ふやかして与えます。そのほか固形のペレット以外にも、食べやすい補助食を与えます。成長に応じてフードをしっかり食べさせるためにも、内容を切り替えるタイミングを考え、バランスのよい食事を心がけましょう。

MEMO

●お水
新鮮なものをいつでも飲めるように、吸水器で与えます。

●回数と時間
朝と夜1日2回。草食動物であるため、食事を摂れない状態が長時間続くことがあってはいけません。いつでも固形フードと牧草が食べられるようにします。

※ベビーのミルクは生後や体調によって回数が異なります。詳しくはお店スタッフにおたずねください。

●モルモットフードの種類
おうちに来るまで食べていたものを聞き、はじめはそれを与えてあげるとよいでしょう。突然種類を替えてしまうと、拒食や下痢の原因になってしまうことがあります。フードの種類を替えたい場合は、今まで与えていたものに、少しずつ新しい種類のものを混ぜ入れ、徐々に切り替えるようにしましょう。

●生後3~5週

1.モルモットフード(ふやかしたもの)
ソフトタイプのフードを使用します。食べやすさと消化を考え、少しふやかしたフードに乾燥したままのフードをトッピングします。このように、ドライ・ウェットをどちらも食べられる状態にしておきましょう。
※フードは、やわらか過ぎても消化不良を起こす場合があるので注意しましょう。

2.食用の牧草
草食動物のため、ベビーの時期から与えます。フィーダーなどに入れ、いつでも新鮮な牧草が食べられるようにしてあげましょう。

3.野菜・果物
ベビーは、生野菜を多く与えると下痢をしてしまう可能性があります。そのため、この時期は少量の野菜や果物で胃腸機能を整えます。
野菜・果物 : リンゴ、ニンジン、小松菜など
※嗜好性が高く、与え過ぎは偏食や下痢の原因となることがあるため、少量ずつ与えてください。

4.補助食
離乳してまだ日が浅いため、高カロリーで消化吸収しやすい補助食を少量与えるとよいでしょう。
※嗜好性が高く、与え過ぎは偏食や下痢の原因となることがあるため、少量ずつ与えてください。

●生後5~6週~

1.モルモットフード
固形のペレットをそのまま与えます。生後5~6週は、モルモットフードをウェットからドライに切り替える時期です。突然ドライにしてしまうと味や食感が違うため、食べなくなってしまうことがあります。必ず、少しずつ切り替える方法をとってください。なお、ハードタイプのかたいフードに徐々に切り替えてもよいでしょう。

2.食用の牧草
草食動物のため、フィーダーなどに入れ、いつでも新鮮な牧草が食べられるようにしてあげましょう。

3.野菜・果物
主食のフードや牧草で補えない栄養を摂ることができ、食欲増進にも効果があります。
野菜 : ブロッコリー、ニンジン、小松菜、パセリ、サツマイモ、サヤエンドウなど
果物 : リンゴ、パイナップル、パパイヤなど
※嗜好性が高く、与え過ぎは偏食や下痢の原因となることがあるため、少量ずつ与えてください。

注意

フードの切り替え時期は個体差がありますので、上記の内容と異なることがあります。それぞれつくり方などの詳しいご質問は、お店スタッフにお気軽におたずねください。

モルモットの病気について

モルモットのように小さな動物は、飼い主さんが病気やケガに気が付いたときには、手遅れとなってしまうことがあります。それを防ぐためには、普段からの健康管理がとても大切です。毎日モルモットの様子を観察し、天候や与えた食事や、食べた量などを日誌につけておくと、病気になったとき獣医さんが診察するのにとても役立つことでしょう。ここでは、症例としてモルモットに多い病気を取り上げ、症状・原因・予防の代表例を紹介します。

MEMO

モルモットとビタミンの関係について

ビタミンは、モルモットのみならず、生き物にとって大切な栄養素です。ビタミンCは体内の組織をつなぎ合わせる働きのある“コラーゲン”の合成や、皮膚・血管・骨などを丈夫にし、免疫力を高め病気になりにくい体をつくる役割をしています。しかし、モルモットは、体の中でビタミンCを合成することができません。そのため、日ごろの食事から必要なビタミンを摂取することが、健康に育てる重要なポイントとなります。
モルモットの専用フードには、ビタミンCを強化したものが多く、そのほかにも野菜や果物からバランスよくとれば基本的に問題ないといわれています。しかし、体調不良のときや、極度のストレスがかかることにより、ビタミンの消費量が急激に増えると、体調を崩しやすくなり、ビタミンが体内で不足してしまうことがあります。そのため、はじめの [鉄則3] にもあるように、日ごろからペットにとってよりよい環境を整えることが、最も大切な予防となるのです。

MEMO

モルモットに多い病気

ビタミンC欠乏症:食欲不振、体重減少、毛艶がなくなる⇒関節などの異常⇒骨の異常、結膜炎・歯肉炎

内容
体内のビタミンCが足りなくなることによって起こる症状です。この病気は非常に陥りやすく、また、モルモットの体調不良の原因の多くは、このビタミンC欠乏症から引き起こることが多いのです。
主に、大きなストレスがかかることによって、ビタミンの消費量が急激に増えることが原因となる場合や、不適切な食事内容により、通常摂らなければならないビタミンCが、体内から欠乏することにより症状が現れます。
症状が進むことによって、体力のないベビーや、高齢のモルモットはとくに、死亡してしまう危険性もあります。

予防方法
バランスのよい食事と、ストレスのかかりにくい安定した環境が最重要となります。
与えるペレットはモルモット専用のものを与えることはもちろん、ビタミンを多く含んだ野菜・果物を日ごろから与えるとよいでしょう。なお、エサの保存状態に気をつけましょう。ビタミンCは熱や湿気に弱く、保存状態が悪いとすぐ酸化して破壊されてしまいます。ビタミンCは体内に長時間溜め込むことができないため、毎日の食生活で補うことが大切です。

皮膚糸状菌症(真菌):脱毛、かゆみ、フケが出る、皮膚が化膿し炎症を起こす

内容
真菌(カビ)の一種である菌の感染により起こる皮膚疾患です。真菌には、白癬菌属や小胞子菌属などがあります。糸状菌を保有しているモルモット全てが皮膚疾患になるわけではなく、ビタミンCの欠乏やほかの病気により、免疫力が低下すると発症しやすくなります。

感染経路
真菌を保有した動物との接触、または身近な環境で発生した真菌が皮膚の角質層や体毛につき感染する。

予防方法
真菌が発生しにくい環境をつくることが、最大の予防となります。そのためには、通気性のよい清潔な環境を保つことが大切です。真菌はモルモットにとって大変身近な病気です。命に直結する病気ではありませんが、日ごろの体調チェックで、早期発見・治療を心がけましょう。

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