フェレットについて

日本では、やっとペットとしても定着してきたイメージのフェレットですが、飼育の歴史は古く、昔から人気の高い動物です。野生のイタチを改良した種類のため、基本的に野生には存在しません(人間が放置したり、逃げ出した野良フェレットは存在します)。もともとはヨーロッパケナガイタチを改良したものといわれていますが、双方には違いが大きく、フェレットが本当はどこからきたのか正確なデータははっきりしません。分類上では“食肉目 イタチ科 イタチ属 フェレット”になります。
非常に社交的な性格なので、フェレットの複数飼育は基本的には可能です。とはいっても、最初はまず1匹から飼育し、様子を見てからほかのフェレットを迎え入れることをおすすめします。ペットショップにいるほとんどのフェレットは、“臭腺除去”“去勢・避妊”の手術が施されていますので、繁殖することはできません。手術されていないフェレットを繁殖させるとしても、容易なことではないため、そのような準備と心構えが十分できないうちは、考えないほうがよいでしょう。
フェレットの平均寿命は日本の飼育下で6~8年といわれていますが、海外では13年生きたという例もあります。逆に体質が弱かったり、病気などで長生きできない場合もあります。いずれにせよ、フェレットが幸せに天寿をすごせるように、飼い主さんは大切に育ててください。

飼育セットをそろえる

フェレットを迎える前に、育てるために必要なセットを用意し、用品ひとつひとつの用途を把握しておきましょう。

飼育セット

  • ケージ
  • 床材
  • トイレ
  • 吸水器
  • 主食
  • 補助食
  • エサ入れ
  • 野菜・果物
  • エサ入れ
  • ハンモック
  • 飼育本

どんなごはんをあげたらいいの?

生後約1~2ヶ月のベビーフェレットたちは、食事の内容も異なります。とくにおうちにきたばかりのベビーは、ドライフードになれていないため、固形のペレットを適度にふやかし、食べやすい状態にして与えます。成長に応じてフードをしっかり食べさせるためにも、内容を切り替えるタイミングを考え、バランスのよい食事を心がけましょう。

MEMO

●お水
新鮮なものをいつでも飲めるように、吸水器で与えます。フェレットはお水を比較的たくさん飲むので、大きめのボトルを用意しましょう。

●回数と時間
朝と夜1日2~3回。ふやかしたフードは腐りやすいので、食べ残しは必ず捨て、新しいものに取り替えましょう。

●フェレットフードの種類
おうちに来るまで与えられていたものを聞き、はじめはそれを与えてあげるとよいでしょう。突然種類を替えてしまうと、拒食や下痢の原因になってしまうことがあります。フードの種類を替えたい場合は、今まで与えていたものに、少しずつ新しい種類のものを混ぜ入れ、徐々に切り替えるようにしましょう。

●生後1~2ヶ月半

1.フェレットフード(ふやかしたもの)
食べやすさと消化を考え、ドライフードを水でふやかしてから与えます。(お湯でふやかす場合は、短時間でやわらかくなるため、ふやかし過ぎに注意しましょう。)固形のフードを指でグッとつぶせる程度が目安となります。
※フードは、やわらか過ぎても消化不良を起こす場合があるので注意しましょう。

2.補助食
成長期のベビーには、栄養価が高く、消化吸収しやすい補助食を、少量主食にトッピングしてください。しつけ用のおやつとしても効果的です。
※嗜好性が高く、与え過ぎは偏食や肥満の原因となることがあるため、少量ずつ与えてください。

●生後約2ヶ月半~

1.フェレットフード
固形のフェレットフードをそのまま与えます。生後2~2ヶ月半は、フードをウェットからドライに切り替える時期です。突然ドライにしてしまうと味や食感が違うため、食べなくなってしまうことがあります。必ず、少しずつ切り替える方法をとってください。

注意

フードの切り替え時期は個体差がありますので、上記の内容と異なることがあります。それぞれつくり方などの詳しいご質問は、お店スタッフにお気軽におたずねください。

ワクチンについて

病気には、感染したら命に関わる怖い伝染病もあります。これらの病気にかかる前に、ワクチン接種でフェレットのカラダの中に抵抗力(抗体)をつけておくのがワクチンの目的です。ベビーは母親から主に初乳を介して、母親のもつ免疫を譲り受けます。これを移行抗体と呼び、この免疫が有効な期間はおよそ生後45~90日くらいまでで、徐々に効果がなくなります。一生続く免疫ではないため、この抗体効力の切れる時期が、病気に対する抵抗力が失われる大変危険な時期といえます。 これを防ぐのが1回目のワクチン接種。しかし母親譲りの免疫が少しでも残っていると、せっかくのワクチン接種も十分な効果が得られないので、より確実に免疫を作るため、その後3~4週間経過した頃、追加で1~2回の接種が必要なのです。 しかし、ワクチンによる免疫も約1年しか効果がないため、毎年継続してワクチン接種を受けさせてあげる必要があります。 フェレットのワクチンは、14週齢以降に初年度の最終ワクチンの接種が推奨されているため、 コジマでは、ワクチン4回接種(ファームで3回・コジマで1回)を推奨しております。

フェレットにもワクチンが必要なの?

フェレットの場合、一般的にジステンパーのワクチンを接種します。
フェレットにとって、ジステンパー症は感染率も高く、一旦感染すると高い確率で死に至る病気です。現状で発症していなくても、潜伏している可能性もあり、ほかのフェレットに感染させてしまう危険性があるので、自分のフェレットのためのみならず、ほかのフェレットのためにも、飼い主さんは責任をもってワクチン接種をさせることをおすすめします。詳しくは獣医師、もしくはお店スタッフにご相談ください。

フェレットの病気について

フェレットのように小さな動物は、飼い主さんが病気やケガに気が付いたときには、手遅れとなってしまうことがあります。それを防ぐためには、普段からの健康管理がとても大切です。毎日フェレットの様子を観察し、天候や与えた食事、食べた量などを日誌につけておくと、病気になったとき獣医さんが診察するのにとても役立つことでしょう。ここでは、症例としてフェレットに多い病気を取り上げ、症状・原因・予防の代表例を紹介します。

MEMO

フェレットの下痢について

おうちについたばかりのフェレットは、移動のストレス、環境変化のストレスなどにより、抵抗力が低下してしまい、下痢を引き起こすことがあります。そして、ベビーの場合、フードをふやかしすぎなど、食事の内容が適切でないため、下痢をすることもあります。そのため、はじめの [鉄則1~3] を十分守って、日ごろからペットにとってよりよい環境を整えることが、最も大切な予防となるのです。

注意

病気の症状として下痢をおこす場合もありますので、異常を確認したら、すぐ購入したお店スタッフにご相談ください。

MEMO

フェレットに多い病気

耳ダニ(耳疥癬)

内容
ミミヒゼンダニが外耳道に寄生して起こる疾患です。症状として、耳をかゆがったり、頭を振ったりする行動を頻繁にする、外耳に炎症やかさぶたが見られたり、耳垂れを起こしたりする、頭や体を一方に傾けて歩いたり、その傾いた方向にくるくるまわったりするなどが挙げられます。

感染経路
接触感染(耳ダニが寄生した動物と、何らかのかたちで接触することにより感染)

予防方法
ミミダニは卵から成虫になるまで3週間かかり、現時点で異常が見られなくても後に卵が孵化し症状が現れるといった場合もあります。また、犬・猫など、ほかの動物間感染も起こる病気なので、同居の動物や動物がたくさん集まる環境に注意しましょう。定期的な耳のクリーニングをし、清潔に保つことが大切です。感染してしまった場合は、早急に獣医師に治療してもらいましょう。

犬ジステンパー症:目やに・鼻水・発熱・食欲不振⇒発疹・ハードパッド・呼吸器系症状⇒中枢神経症状

内容
イヌ科・イタチ科・アライグマ科の動物を宿主とする、“犬ジステンパーウイルス”により感染します。フェレットの場合、このジステンパーウイルスに感染している、もしくは潜伏させた動物が近辺にいると、高い確率で感染してしまいます。そして、1度感染してしまうとほとんどの場合死んでしまいます。感染後約1週目からウイルスを排出し、潜伏期間は7~10日です。

感染経路
飛沫感染(すでに感染している動物との直接的接触でも感染する)

予防方法
現時点での予防法は、ワクチン接種のみとなります。年に1度、ジステンパーワクチンを動物病院で接種します。

フェレットと仲良くしよう

フェレットは非常に好奇心が強く、また、遊び好きなので、人が思うようにはじっとしてくれません。それはフェレットがとても頭がよいことの証ともいえます。フェレットは個性的で、自己表現力が強いので、コミュニケーションがとりやすい動物です。といっても言葉がしゃべれるわけではないので、ある程度の観察や思いやりが必要になります。しかし、ひとたび理解すれば、フェレットとの暮らしは、非常に愉快で楽しいものとなるでしょう。

来たばかりのときは・・・

フェレットをはじめて迎えたときは、嬉しくてなでまわしたり、抱っこしたりしがちですが、フェエットにとっては、見ず知らずの家にきたばかりで、緊張や不安、ストレスでいっぱいです。そんな中であまりかまわれると“嫌な経験・印象”になり、人になつきづらくなります。新しい住まいや環境になれるまでは、むやみに触ったり抱いたりせず、そっと休ませてあげましょう。

なれてもらう接し方

1.エサの交換や掃除など、何か行うときは、必ず声をかけてから作業するなど、驚かさないようにしましょう。声は、赤ちゃんに接するときのように、優しくかけてあげましょう。

2.好奇心でかんでくるということがありますが、そのときは落ちついてその場で口をはずし、言葉とジェスチャーで注意してください。後から叱ってもしつけの効果はなく、虐待になりかねません。

3.部屋をきれいに片付けて、危ないものがない状態にし、フェレットをケージから出してあげましょう。自由に部屋の中を冒険している間は、声をかけながら様子を見るだけにしてください。

4.そのうちフェレットのほうから寄ってきますが、フェレットが十分飼い主さんをチェックできるまで、手は出さないでください。

5.頃合を見計らって、優しく声をかけながら、そっとひとなでします。嫌がらないようならそれを繰り返します。

6.おもちゃで遊んだり、手からおやつをあげてみてください。なれたようなら、両手で抱き上げてもいいでしょう。ただし、無理強いはしないように、よく観察しながら行いましょう。

遊ぶときの注意

遊びやエサなどを、毎日同じ時間に行うと、フェレットはそれらの時間を覚え、催促する仕草をするようになります。子供のときより大人になってからのほうがよく覚えてくれるので、最初はなかなか覚えなくても諦めずに続けてください。ある程度のコミュニケーションがとれるようになります。

トイレはしつけられるの?

フェレットは角にトイレをする習性があります。においのないところに最初からトイレ容器を設置してしまうと、トイレ以外のところでおしっこをしてしまう場合が多いため、最初はトイレを設置しないで、自由に場所を決めさせてあげましょう。1ヶ所に決まったら、そこにトイレ容器を設置し、フェレットの排泄物を入れると、においでそこが自分のトイレだと判断します。
トイレ以外の場所でしてしまっても、決して叱ったり叩いたりしないでください。そういった場合は、そこがトイレだと勘違いしないように、すぐ拭きとってにおいを消します。

フェレットのかみ癖について

フェレットには“かみ癖”があります。かみ癖の少ない子、ほとんどかまない子・・・・など、性格などの個体差はあります。
まず、おうちのフェレットが、なぜかむのか原因をはっきりさせることが大切です。

どうしてかむの?

1.幼獣のじゃれがみ
フェレットの歯は、生後約3~4ヶ月で永久歯に生え変わります。それまでは歯がむず痒くて、やたらと人や物をかむことがあります。この時期は、かんで遊べるおもちゃを与え、ストレス発散をはかり、人をかんだ場合のみ大きな声で“ダメ!!”と目を見て怒りましょう。ただし、幼獣は体力がないため、過度なしつけは体調を崩す原因となります。

2.幼獣の空腹がみ
エサのふやかし方がかたすぎて、満足にエサを食べれていない場合、お腹がすいているためイライラしてかんでしまうことがあります。こちらはきちんと与えているつもりでも、もう1度エサのかたさを確認しましょう。
なお、かみ癖のしつけは、必ずフェレットの空腹を満たしてから行うようにしましょう。お腹がすいている意思表示として、かみついているのに叱りつけてしまうと、フェレットはますますイライラしてしまい、人間不信になりかねません。

3.突然かむようになる
今まで長い間かんだりしなかった個体が、突然かむことがあります。それは体調が悪かったり、ケガして痛みがある可能性があります。そういった場合は、念のため病院で健康診断をしてもらいましょう。
それ以外の原因としては、飼い主さんが気付かないうちに、フェレットにとって嫌な影響を与えてしまった可能性もあります。日ごろから、粗末に扱ったり、乱暴にあしらったりすることがないよう、優しく接してあげましょう。

どうやってしつけるの?

さまざまなしつけ方法がありますが、ワンちゃんをしつけるように、目を見て大きな声で怒ってあげることが一番よいと思われます。“しつけ用スプレー”や“鼻ピン”は、刺激が強いため、加減が難しい面があります。 “かんだら怒る”を繰り返すと、フェレットが“かむと嫌なことがあるぞ・・・・かまないと優しくしてもらえて楽しい!!”と感じてくれるようになります。しかし、まだしつけ前や途中、もしくは野性味の強い性格のフェレットに本気でかまれると、ときには血が出るほどかんでしまう子もいます。小さなお子様や女性のかたは、おうちにきたフェレットと触れ合うとき、はじめは手袋をするとよいでしょう。その子の性格が徐々にわかってくると同時に、かみ癖が落ちついてから直接触れ合うことをおすすめします。

●フェレットは聴覚が発達しているため、かんだらすぐ口をはずして、大きな声で“ダメ!!”と目を見て叱りましょう。かまないときは存分に可愛がってあげてください。

●かんだ瞬間、もしくはかみそうな動作にうつった瞬間に叱ってあげましょう。かんでから時間があいてしまうと、何について怒られたのかわからず、フェレットが混乱してしまいます。

●フェレットがかんだとき、きつく怒ったり、全く怒らなかったりという不安定なしつけはいけません。適度にきちんと“かんだら怒る”を徹底しましょう。

●生後1~2ヶ月のフェレットは、まだ体力もなく、徹底したしつけはまだ早いかもれません。基本的には、2回目のワクチン接種終了後1週間までは安静にしてあげましょう。

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