ミドリガメ・ゼニガメについて
ミドリガメとゼニガメは、“カメ目 ヌマガメ科”に分類される水辺や沼などで生活するカメです。そしてこの2種類は、飼育入門種として昔から日本で親しまれています。
ミドリガメとは体色が緑色の“ミシシッピアカミミガメ”の通称です。また、ゼニガメは“イシガメ”とも呼ばれています。近年では日本でのイシガメ生息数が減少し、ゼニガメとして販売されている種類のほとんどが“クサガメ”の幼体です。
最近では、アメリカが原産のミドリガメや繁殖もののクサガメが日本の各地で発見されるようになりました。それは、ペットとして育てていたミドリガメを、“飼えなくなってしまった”などの理由で池に放してしまった結果なのです。そして野生のゼニガメ(イシガメ)は、そういった外来種や水質の悪化によって激減してしまいました。このように人間の勝手で、もともとそこに生息していた野生動物の生活を脅かし、元の自然を狂わせることは絶対してはいけません。最後まで責任をもち、ずっと可愛がって育てることが、飼い主さんの使命であることを忘れないでください。
大変長寿な動物で、平均寿命は20~30年といわれ、40年生きたという例もあります。逆に体質が弱かったり、病気などで長生きできない場合もあります。いずれにせよ、ペットが幸せに天寿をすごせるように、飼い主さんは大切に育ててください。
飼育セットをそろえる
カメを迎える前に、育てるために必要なセットを用意し、用品ひとつひとつの用途を把握しておきましょう。
飼育セット
- 飼育ケース
- 敷き砂
- 陸場
- 主食
- 副食
- 補助食
- 水中ヒーター
- 保温ライト
- 紫外線灯
- 隠れ家(日よけ)
- 飼育本
どんなごはんをあげたらいいの?
カメはとっても食いしん坊なので、何でも食べてしまいます。日ごろから飼い主さんが食事のバランスや量を調節してあげましょう。なお、食事の内容に関わらず、水温が低いと食欲が低下し、体調を崩してしまいます。ベビーのカメはとくに、食事の内容だけでなく、水温・気温にも気をつけましょう。
- MEMO
-
●適温
水温:24~28℃/気温:20~24℃
水温や気温が低いとエサを食べなくなってしまいます。最低でも16℃を下回らないよう保温しましょう。(繁殖などの例外を除く)●水
カメは水の中で、のどが渇くと自由に水を飲んでいます。しかし、水が汚れていると飲まなくなってしまい、脱水症状を起こすこともあるのです。水の中で生活する生き物にとって、飲み水は同じ水となります。そのことを理解し、いつもきれいな水を飲むことができるよう、こまめな水替えをしましょう。●回数と時間
朝と夕の1日2回。ベビーは水の腐りに弱いため、エサの食べ残しが少ない程度に量を調節しましょう。毎食後30分くらい経ったら、汚れた水を替えましょう。●フードの種類
おうちに来るまで与えられていたものを聞き、はじめはそれを与えてあげるとよいでしょう。突然種類を替えてしまうと、拒食や下痢の原因になってしまうことがあります。フードの種類を替えたい場合は、少しずつ新しい種類のものを混ぜ入れ、徐々に切り替えるようにしましょう。1.カメ用配合フード
水ガメ用の専用フードを与えます。水の中にいるカメの口元に落としてあげましょう。ベビーには食べやすく、フードを小さくしてあげるとよいでしょう。
※与え過ぎは食べ残しが多くなり、水の腐りの原因となります。1度に食べきれる量を与えましょう。2.副食
市販の乾燥エビ、アカムシなどを副食として与えます。嗜好性が高いため餌付けにも使えます。週に1~2回程度与えるとよいでしょう。そのほかに、小魚・野菜・果物・水草なども好んで食べます。
※与え過ぎると偏食や肥満、消化不良の原因となります。
注意
それぞれの詳しいご質問は、お店スタッフにお気軽におたずねください。
食べさせてはいけないもの
基本的に、刺激のあるもの、糖分・脂肪分の多いもの、中毒を起こす可能性が高いものなどは、カメにとって害となり、食べさせてはいけません。ミドリガメとゼニガメは雑食性のため、人が与えるものは何でも食べてしまいます。
ここでは、飼い主さんがうっかり与えしまいそうな、本当はあげてはいけない食べ物の代表例を紹介します。
1.ソーセージ
2.ハム
3.ちくわ
4.はんぺん
5.保存状態の悪いもの
6.人間のお菓子
病気について
カメの体は甲羅に包まれています。そのため、外見に異常がみられたときには、症状が進行しており、手遅れとなってしまうことがあります。それを防ぐためには、普段からの健康管理がとても大切です。毎日カメの様子を観察し、天候や与えた食事、食べた量などを日誌につけておくと、病気になったとき獣医さんが診察するのにとても役立つことでしょう。ここでは、症例として多い病気を取り上げ、症状・原因・予防の代表例を紹介します。
- MEMO
-
カメに多い病気
くる病:食欲不振、歩行困難、甲羅の軟体化・変形
内容
この病気は、幼体に多くみられる病気です。主に、紫外線、ビタミンD3、カルシウムが不足することによって発症します。甲羅がやわらかくなって変形したり、骨が弱くなり歩くことができなくなるなどの症状がみられます。偏食を起こしたり、適切な食事や紫外線管理を怠ってしまうと起こりやすい病気です。予防方法
日ごろから、バランスのよい食事を与え、日光浴や紫外線ライトの設置により予防できます。定期的にエサにビタミン剤やカルシウム剤を添加してもよいでしょう。甲羅がやわらかくなる症状として、水質の悪化によるものがありますが、その場合、こまめな水替えを徹底する必要があります。ビタミンA欠乏症:まぶたの炎症
内容
ビタミンAの欠乏により、まぶたが腫れ、目が開かなくなったりします。この症状が見られるころには、かなり病状が進行していることが多いのです。偏食を起こしたり、適切な食事管理を怠ってしまうとなりやすいといえます。予防方法
日ごろから、バランスのよい食事を与えることにより予防できます。定期的にエサにビタミン剤やカルシウム剤を添加してもよいでしょう。症状が見られたら、早急にビタミンの摂取をさせる必要があります。
POINT
幼体のカメに多い症状として、“エサを食べない”“動きが悪い”などがあげられます。その原因は必ずしも病気ではなく、多くの場合、“水温・気温が低い”“水質の悪化”なのです。おうちに来たばかりのカメが、食欲がないと感じたときは、まず保温することをおすすめします。(夏場の場合は、逆に水温が高すぎないかチェックしてみます)水中ヒーター、保温ライトを設置し適温に設定してあげると、少しずつ食欲が出るでしょう。
※それでも食欲が回復しない場合は、速やかにすぐ購入したお店のスタッフまでご相談ください。
カメを触ったら手を洗おう!
“カメを触ると病気になる”、“カメは伝染病をもっている”などの間違った情報を耳にしたことはありませんか? カメには“サルモネラ菌”があります。そのため、カメを触ったり掃除をしたあと、そのまま手を使って食事するなどの行動により、サルモネラ菌を口にすると、下痢などの体調不良をおこす危険性があります。しかし、サルモネラ菌とは、カメ特有のものではなく、そのほかの動物や自然界にも、非常に多く存在する菌なのです。清潔に正しい飼育方法をとれば安全に飼育することができます。必ずカメを触ったり掃除をしたあとには、必ず石鹸で手を洗いましょう。なお、カメの水替えに台所の流しを使用することは避けましょう。