大動脈血栓塞栓症について

2024/03/26

病院(システム使用)
コジマ亀戸動物病院
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今月紹介する症例は肥大型心筋症に併発した大動脈血栓塞栓症についてです。


猫ちゃん(ノルウェージャンフォレストキャット) 12歳
急に両後肢に力が入らなくなったとのことで来院。
両後肢麻痺、パッド冷感、開口呼吸が認められたので、レントゲンを撮影したところ、肺水腫、超音波検査にて心筋の肥大が認められ、肥大型心筋症に伴う大動脈血栓塞栓症と診断し酸素室にて入院となりました。治療は、抗血栓薬、鎮痛薬、心臓薬で治療を行い、塞栓の
解除が確認できた為退院としました。現在は両後肢に麻痺は残るものの、元気に過ごしてくれています。



肥大型心筋症とは?

肥大型心筋症とは猫ちゃんにおいては一般的な疾患で、心筋細胞の肥大により心機能障害を起こし、心不全を引き起こす疾患です。発症する年齢は若齢~高齢まで幅広く、また発生率は非常に高く、見た目が健康な猫ちゃんにおいても14.7%の割合で本疾患を診断されたという報告もあります。遺伝性が疑われていますが、現時点で原因に関してははっきりとわかっていません。症状としては、開口呼吸や呼吸困難などの心不全の症状を示している仔もいれば、全く症状を示さなかったり、なんとなく元気がないなどの非特異的な症状のみを示す仔もいれば、全く症状を示さなかったり、なんとなく元気がないなどの非特異的な症状のみを示す仔もいます。心筋肥大の診断は、心臓の超音波検査にて行っていきます。

大動脈血栓塞栓症とは?

大動脈血栓塞栓症とは猫ちゃんでは主に心筋症に併発しやすい疾患で、心臓の血流がうっ滞することで心臓内に形成された血栓が血管内に詰まってしまった状態です。
猫ちゃんでは、多くが後肢の動脈に血栓が生じることが多く、症状としては、急な後肢の麻痺、痛みなどを示します。本疾患は血栓の確認を行い、本疾患を引き起こす原因をみつけていくことで診断していきます。また、治療が非常に難しく亡くなってしまうことも多い病気です。



➡猫ちゃんの肥大型心筋症は症状がわかりにくく、中には突然死や動脈血栓塞栓症などの重篤な病気を続発してしまうこともあります。心筋症の検査として心筋負荷の指標として用いられる心臓のバイオマーカーを外部の血液検査にて調べることができます。もし、気になるという方は当院までご相談下さい。動脈血栓塞栓症に関しては、早期発見・治療がとても大事になってくるので、上記のような症状が見られたらすぐのご受診をお勧め致します。
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