毛球症について

2021/11/26

病院(システム使用)
コジマ橋本動物病院
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今回はネコちゃんに多く見られる「毛球症」についてご説明いたします。

<毛球症とは?>
ネコちゃんはとてもキレイ好きです。
健康なネコちゃんは、身づくろいをして自分の毛並みをキレイに保っています。
身づくろいをして抜けた被毛が口から体内に入り、毛が胃や腸で絡み合い、ある程度の大きさの塊となります。
この被毛の塊(毛球)が胃や腸に溜まることによって引き起こされる消化器の病気のことを「毛球症」といいます。
被毛は食べ物とは違い、体内に入ってもうまく消化はされません。
毛球が、胃や腸を問題なく通過出来る大きさであれば、便として一緒に排出されますが、胃で大きくなりすぎると胃から先に進めなくなり、消化器官を中心に様々な影響を及ぼします。
また、通過出来ても小腸(胃の先にある長くて細い消化器官)で停滞してしまう「腸閉塞」という状態になると非常に危険です。

<症状>
ネコちゃんが毛のかたまりのようなものを吐き出している姿を見かけたことはありませんか?
毛球症で一番多くみられる症状は、「嘔吐」です。
食道に被毛のかたまりが停滞している場合だと、1度吐き出したらスッキリする場合もありますが、繰り返し吐き続けることもあります。
何度も吐き続けると胃液が食道を刺激し、食道炎を起こしてしまうこともあります。
食道炎を引き起こすと、胸やけを起こし食欲の低下にもつながります。

腸閉塞を引き起こした場合、放っておくと腸の停滞してしまっている部分の血行が悪くなり、腸に穴が開いて腹膜炎を引き起こします。
そして激しい腹痛や何度も嘔吐を繰り返し、亡くなってしまうこともあります。

<原因>
原因としては、過剰な身づくろいが原因です。
身づくろいをすること自体に全く問題はなく、むしろセルフグルーミングがしっかりと出来ているということで元気な証拠であるも言えます。
しかし、身づくろいが過剰になり、被毛を多く体内に摂取することで「毛球症」のリスクが高まります。
身づくろいが過剰になりやすい原因としては、以下のものが考えられます。

・何らかの原因がストレスとなり、病的に舐めてしまう。皮膚炎の原因にもなる。
・ノミの寄生や、アレルギー性皮膚炎を起こすことにより、過剰に舐めてしまう。
・消化器に何らかの疾患があり、うまく消化運動が出来ずに毛球がとどまってしまう。
また、長毛種は短毛種に比べて、通常なセルフグルーミングでも飲み込む毛の量が多く毛球が大きくなりやすいです。

<予防と治療法>
予防としては、
・毛球症予防に適したフードに変えてみる。
・飼い主様がこまめにブラッシングを行う。
・ストレスの原因となっているものを明らかにし、ストレスや不安を出来る限り取り除く。
・ノミなどの予防をする。(当院では通年予防をオススメしています。)
・普段から便の様子や、皮膚の状態を確認する。(便がしっかり出ているか、皮膚に赤くなっているところがないか等)
・皮膚や消化器官の疾患が疑わしい場合は、動物病院へご相談を。

たかが毛玉と思う方もいるかもしれませんが、毛球症は放っておくと亡くなってしまう可能性もあるような恐ろしい病気です。
おうちのネコちゃんの行動や様子を普段から確認しておくことで、変化に早く気が付けるかもしれません。