知っていますか? マダニのこと
2020/03/21
- 病院(システム使用)
- コジマ府中動物病院
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- 皆さんは、「マダニ」という寄生虫をご存知でしょうか。
マダニは8本脚の節足動物で、主に野外に年間を通して生息しています。家の中に住んでいることの多いイエダニ、ヒゼンダニ等と比べて体が大きく、固い外皮に覆われているのが特徴で、肉眼でもはっきりとその姿を見ることができます。
マダニは動物の血液を栄養源としており、動物の体に咬みついて吸血します。マダニに咬まれると貧血やアレルギー性皮膚炎などを引き起こすことがありますが、その際に、様々な病原体を媒介してしまうことがあります。中には、犬や猫だけでなく、我々人間にも感染してしまうものもあるので注意が必要です。以下、代表的なものをいくつかご紹介します。
1.バベシア症
犬・猫の赤血球にバベシアというごく小さな寄生虫が寄生し、赤血球を破壊して発熱や貧血を引き起こします。
2.エールリヒア症
犬の白血球にリケッチアという細菌が寄生し、発熱や食欲不振、痙攣、関節炎等を引き起こします。
3.ライム病
ボレリアという細菌が原因で引き起こされます。犬だけでなく人にも感染する人獣共通感染症で、主に髄膜炎や脳炎などの神経症状のほか、人では皮膚の紅斑が認められます。
4.重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルスによる人の感染症で、発熱や頭痛に始まり、嘔吐や下痢、血小板減少、ショックなどを引き起こすことがあります。犬や猫は一般に無症状だと言われていますが、2013年には犬から、2016年には猫からそれぞれ人に感染したと思われる事例が報告されています。
もしもおうちのワンちゃん、猫ちゃんがマダニに咬まれてしまっているのを発見した際には、無理に取ろうとせずに動物病院を受診するようにしてください。吸血中のマダニは皮膚を咬む力がとても強いため、無理矢理取ろうとするとマダニの口器がちぎれて皮膚の中に残ってしまい、化膿してしまう原因となります。
また、当院ではマダニの予防・駆除に効果のある予防薬をご用意しています。背中にたらすスポットタイプ、おやつ感覚であげられる経口タイプがありますので、お気軽に獣医師までご相談ください。