意外と知らない尿石のお話
2018/11/10
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- コジマ府中動物病院
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- こんにちは! いよいよ秋も深まり、寒くなってきましたね。
動物たちは私たちよりも体が小さく、冷えやすい足元にいることも多いので、寒さ管理はしっかりとしてあげてくださいね。
さて、今回はワンちゃんネコちゃんたちにとって身近な病気のひとつ、「尿石症」について少しお話ししたいと思います。
【尿石症とは?】
「尿石症」とは、読んで字の通り尿中に結石が形成されてしまう病気です。「膀胱結石」や「腎結石」など聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、尿中の結石はどのようにしてできるのでしょうか? ワンちゃんネコちゃんにできる結石のうち、代表的なものをふたつご紹介します。
①ストラバイト結晶(リン酸アンモニウムマグネシウム結晶)
尿中のpHがアルカリ性に傾くことによってできやすくなります。ストラバイト結晶が形成される要因としては、大きく分けて食事要因と膀胱炎のふたつがあります。
ストラバイト結晶ができやすくなる食事で代表的なものとしては、野菜や果物、ミネラルウォーター、塩分を多く含むおやつなどがあげられます。
膀胱炎によってできる場合、膀胱内に感染した細菌によって尿中のpHがアルカリ性に傾くため、ストラバイト結晶ができやすくなります。膀胱炎になると尿石症になりやすくなるだけでなく、頻尿や血尿、排尿痛などの症状が見られます。
②シュウ酸カルシウム結晶
シュウ酸カルシウム結晶が形成される要因としては、ストラバイト結晶と同様食事要因があげられるほか、高カルシウム血症があげられます。
シュウ酸カルシウム結晶ができやすくなる食事としては、小魚や骨など、カルシウムを多く含むものがあげられます。
高カルシウム血症の原因としては、腎機能の低下や骨の衰え、上皮小体(副甲状腺)機能亢進症などがあげられます。また、特にネコちゃんの場合、他に健康状態に問題がなくても体質的にカルシウム値が高いことがあります。
【尿石症になったらどうなるの?】
尿石症になってしまった子の場合、初期はほとんどが無症状です。結晶成分が多くなってくると、トイレにした尿がキラキラしていたり、色が濁ってきたりして見た目でもわかる場合があります。
やがて結晶が集まって大きな結石を作ってしまった場合、膀胱粘膜を傷つけて膀胱炎の症状を出したり、尿管や尿道といった尿の通り道をふさいでしまったりすることがあります。このような場合には外科手術が必要になることもあります。特に結石によって尿の通り道がふさがってしまった場合、「尿道閉塞」といって緊急的な処置が必要になりますので、トイレに行っても尿が出ていないなど、異常を感じたらすぐに病院に連れてきてください。
【尿石症を予防するにはどうすればいいの?】
尿石症を予防するには、まずはおやつのあげすぎなど、日常の食生活を見直すことが大事になります。また、お水をしっかり飲むことによって尿をたくさん作り、結晶ができる前に外に出すことも大切です。普段の食生活だけで尿石症が改善できない子や、繰り返してしまう子の場合、専用の療法食が必要になることもあります。
尿石症の早期発見には日々のトイレの様子をよく観察することや、定期的な尿検査が有用です。
当院で行っているアニマルドックでは、尿検査も行っております。定期的な健康診断を受けることは尿石症だけでなく、様々な病気の早期発見にもつながりますので、ぜひ一度受けてみることをお勧めします。アニマルドックは予約が必要になりますので、詳しくはスタッフにお尋ねください。 - 写真
手術で摘出した膀胱結石