偽妊娠とは

女の子のワンちゃんに起こる症状で、ホルモンバランスの変化によって、実際には妊娠していないのにカラダが妊娠したと勘違いをしてしまう状態のことです。

原因は？

卵巣から分泌される、女性ホルモンの変化によって偽妊娠がおこります。
通常、ワンちゃんは妊娠をしていなくても発情後に卵巣から妊娠を維持するためのホルモンが分泌されます。
このホルモンの過剰分泌などが影響して、妊娠している時と同じような行動やカラダの変化がみられることがあります。

偽妊娠の症状

偽妊娠の症状には個体差があります。
・乳が張る、乳汁が出る
・攻撃的になる
・嘔吐
・巣作りをする
・ぬいぐるみなどを子供のようにかくまい、世話をする
・食欲が減退する
・お散歩を嫌がる
乳が張ったり、乳汁が出る場合は、乳腺炎という妊娠中によく見られる病気を引き起こす可能性があります。
乳腺炎は、乳房が赤く腫れたり、高熱が出るのが基本的な症状ですが、重度になると食欲低下や全身の発熱などが見られます。

治療法は？

偽妊娠は病気ではありません。乳腺炎などの合併症を患っていなければ特に治療をする必要はなく、自然に元の様子へ戻ります。
元に戻るまでに要する期間は、数日から1,2ヶ月程度と個体差があります。
ただし、症状が長引いたり、偽妊娠を繰り返す場合は体に負担がかかるため、早めに動物病院に相談しましょう。
ごはんを食べない時には、ドライフードをふやかしたりウェットフードを与えたりするなど工夫し、摂取水分量にも注意してください。
また、攻撃的になった場合は、ワンちゃんも人も怪我をしないよう、触れ合う時には十分に気を付けましょう。
ぬいぐるみを子供に見立ててしまっている場合は、与えないようにするのも効果的です。

予防法は？

ワンちゃんの偽妊娠を予防するには避妊手術が効果的です。
避妊手術をすることで発情期がなくなり、女性ホルモンが過剰に分泌されないので偽妊娠も起こりません。
避妊手術には、望まない妊娠を避けるだけではなく、このようなホルモンバランスに起因する症状や生殖器に関する病気を予防できるといった大きなメリットがあります。
ただし、全身麻酔をかけることや開腹手術であることなど、リスクも伴うため、ご家族や獣医師とよくご相談ください。

最後に

今回は偽妊娠についてご紹介しました。
偽妊娠とは、子犬を育てるためのメカニズムが本能として備わっていることによって起こる症状です。
愛犬にこのような様子が見られた場合は、安心できる環境を整え、見守りましょう。
また、偽妊娠と同じような症状が見られても他の病気の可能性もあります。
原因を決めつけずに、まずは動物病院に相談しましょう。