コジマ動物病院からのお知らせ53
ワンちゃん・ネコちゃんと暮らす人が知っておくべき人獣共通感染症について
人獣共通感染症とは、動物から人に感染する病気のことを指します。ワンちゃん・ネコちゃんと暮らす人が知っておいたほうが良い人獣共通感染症がいくつかあります。
暖かくなってきて人も動物も外に出る機会が増え、いろいろな動物と出会う場面も増えることでしょう。
あらゆる病気を極端に怖がる必要はありませんが、どんなものがあるのかを知っておくだけでもペットとの安全な生活のヒントになるかもしれません。
今回は代表的な病気をいくつかご紹介します。
狂犬病
狂犬病ウイルスが原因で起こる病気で、感染した動物に咬まれたり引っかかれたりしてできた傷口からウイルスが侵入してうつります。
一度発症すると治療が難しく極めて致死率の高い病気です。しかし、ワクチン接種を受けることで人やペットを守ることができます。
現在日本は世界で数少ない狂犬病の清浄国(狂犬病が発生していない国)です。
飼い主には「毎年ワンちゃんに狂犬病ワクチンを受けさせること」などが狂犬病予防法によって義務付けられています。
トキソプラズマ症
トキソプラズマという寄生虫の一種が原因で起こる病気で、加熱不足の肉を食べたり、感染したネコちゃんの便からうつります。
人にうつると一般的には風邪のような症状がでて自然に治ることが多いです。
しかし妊婦や免疫力の弱い人は重症化したり、胎児に影響がでることが知られており特に注意が必要です。
ネコちゃんのトイレを掃除するときは手袋を使用したり、手をよく洗うことが大切です。
猫ひっかき病
バルトネラと呼ばれる細菌が原因で起こる病気で、感染にはノミによる吸血が関係しており、菌を持っているネコちゃんに引っかかれたり舐められたりすることによってうつります。
人にうつると発熱・食欲不振・倦怠感などが現れた後、リンパ節が腫れることがあります。
爪切りはこまめにし、遊んだり触れ合ったあとは手をよく洗いましょう。室内飼育のネコちゃんもノミの予防をしておくと安心です。
皮膚糸状菌症
真菌というカビの仲間が弱った皮膚や被毛に感染して起こる病気で、感染したワンちゃんやネコちゃんなどと触れ合うとうつります。
症状は菌の種類によりますが人にうつると皮膚の一部が赤くなったり痒みを伴うこともあります。
感染している動物は部分的に毛がゴソっと抜けたりフケがみられることが多いので、ワンちゃん・ネコちゃんの皮膚や被毛の状態に変化が見られるときは早めに受診しましょう。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルスが原因で起こる病気で、ウイルスを持っているマダニによる吸血、もしくは感染した動物の体液に触れることでうつります。
ネコ科の動物に感受性が高いので、ネコちゃんから人への感染に注意が必要です。
国内の発生地域が徐々に拡大しており、人の患者数よりも動物の感染例の方が多いことからワンちゃん・ネコちゃんのマダニ対策がとても重要になります。
マダニに咬まれないように屋外での活動は肌の露出を控えたり、一緒にいるペットに配慮した虫よけを使用しましょう。
以前は『ノミ・マダニ予防はお散歩に行くワンちゃんが夏の間だけ』という考え方が主流でしたが、近年の温暖化で今まで日本では見られなかった病気が報告されており、真冬でもマダニ予防の必要性がうたわれはじめています。
『毎日お散歩に行くワンちゃん』も『お散歩が苦手なワンちゃん』も『おうちの外にでないネコちゃん』もノミ・マダニに咬まれないようにするためはもちろん、ノミ・マダニにうつされる病気からペットや一緒に暮らす人を守るためにコジマ動物病院では通年予防を推奨しております。
予防薬、定期駆虫薬などにはいろんなタイプのものがあります。獣医師・動物病院スタッフにご相談ください。
最後に
このほかにも動物から人、人から動物へうつってしまう病気がたくさんあります。
普段から【ペットと触れ合ったりお世話をした後は手を洗う】というのを習慣にしている方も多いと思います。
また【他のおうちのワンちゃんやネコちゃんを触る前には飼い主に触っても良いか聞く】【外で出会う飼い主のわからない動物に不用意に触らない】 などマナーとして当たり前になってきていますが、これらも人獣共通感染症の予防にはとても大切なことです。
今一度ペットや他の動物との関わり方について見直してみる機会にしていただければ幸いです。