コジマ動物病院からのお知らせ18
ワンちゃん・ネコちゃんの肛門腺について
少しずつ暖かい日も増え、春も近づいてきましたがいかがお過ごしでしょうか。
今回は肛門腺についてお話しいたします。
肛門腺とは?
「肛門嚢(のう)」とも呼ばれワンちゃん・ネコちゃんの肛門付近に存在する袋状の器官です。
肛門を時計の中心に例えると4時と8時のあたりに肛門腺があります。
肛門腺はニオイをつけるマーキングの役割をもち、袋の中には液状の分泌物が溜まっています。
ワンちゃんがお散歩中、他のワンちゃんとお互いにおしりのニオイを嗅ぎ合うのは分泌物のニオイを嗅ぎ、
相手を認識するための行動です。おうちでワンちゃん・ネコちゃんがおしりを床に擦りつけて歩いているのを見かけたことはありませんか?
普段あまり目にしない仕草なのでとてもかわいらしいですよね。
しかし、このおしり歩きは何かのサインかもしれません。
原因として以下の4つの理由が考えられます。
1.肛門腺が溜まっている
2.痒みを感じている
3.炎症がおきている
4.寄生虫が感染している
次にそれぞれの原因や対処法を見ていきましょう。
1.肛門腺が溜まっている場合
この分泌物は排便時や興奮時(怒っている、驚いた など) に排泄されます。
肛門腺の分泌物は大型犬やネコちゃんは自然に排泄されることが多いですが、
なかには分泌物がペースト状のため自然に排出できずに溜まってしまう子もいます。
分泌物が溜まると違和感を感じて、おしりを床に擦り付けることがあるので肛門腺を絞ってあげましょう。
太っている子や、ワンちゃんの種類によっては肛門腺が奥まっていて普通の子よりも絞りにくい子がいます。
※フレンチブルドッグ、ボストンテリア、コーギーなどに多くみられます。
おうちで難しい場合は動物病院やトリミングサロンに相談してみましょう。
2.痒みを感じている場合
便が肛門付近に付着したまま乾いたり、トリミングなどで肛門周りにバリカン負けをおこしていたり、
下痢で肛門周囲が荒れることなどで痒みを感じておしりを擦り付けるしぐさをすることがあります。
3.炎症がおきている場合
肛門腺が何らかの原因で炎症をおこしてしまうことを肛門腺炎といいます。
分泌物が上手く排出できずに貯留し、肛門腺が破裂してしまうことを肛門腺破裂といいます。
高齢・便秘気味・下痢・肥満の子に多く見られます。
炎症がひどい場合や化膿している場合は外科的な処置が必要になることもあります。
肛門の腫れ・赤み・出血・痛みなどある場合は、かかりつけの動物病院を受診してください。
4.寄生虫に感染している場合
稀ではありますが寄生虫に感染している場合もあります。
便に白い糸状の物体が混ざっていたり米粒のような白い点々が混ざっていると
回虫や瓜実条虫といった寄生虫に感染している可能性があります。
寄生虫が肛門付近に付着し、違和感を感じおしりを床に擦り付けたりします。
このような便が見られたら動物病院に便を持っていき検便してもらうことをおすすめします。
最後に
今回は肛門腺についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか?
ワンちゃん・ネコちゃんがする普段あまり目にしない行動は、かわいい仕草に見えても実は病気の予兆だったり、
飼い主様へ何か伝えようとしているサインかもしれません。
いつもと様子が違ったり異変が見られた場合は、動画や画像に残して獣医師に見せながら説明すると伝わりやすいでしょう。
肛門腺を定期的に絞る事で肛門腺破裂は予防できます。
「肛門腺絞り」はワンちゃんにとって定期的に行う大切なケアの1つです。