コジマ動物病院からのお知らせ54
ワンちゃん・ネコちゃんの皮膚トラブルについて
おうちのワンちゃん、ネコちゃんにカラダを痒がるしぐさが見られることはありませんか?
掻きすぎて被毛が抜け落ちてしまったり、舐めることにより赤くなってしまうこともあるかもしれません。
痒みには様々な原因があり、それぞれ治療方法が異なります。
今回はこれからの季節、暖かくなるにつれて起こりやすい皮膚炎や、皮膚トラブルにまつわる病気についてご紹介します。
膿皮症
正常な皮膚の表面にも細菌は存在していますが、通常はその細菌で炎症が起こることはほとんどありません。
膿皮症とは何らかの原因で皮膚のバリア機能が低下し、細菌が過剰に増えることにより皮膚に赤みや湿疹、円形の脱毛などが見られる病気です。
外用薬・内服薬や薬用シャンプーで治療を行います。
また、必要に応じて有効な抗菌薬を調べるための細菌培養検査を行うこともあります。
膿皮症は高温多湿な環境で起こりやすいため、普段生活しているお部屋の温度や湿度を調整したり、定期的にシャンプーをするなど皮膚を清潔に保つことが予防にも繋がります。
マラセチア性皮膚炎
皮膚に常在するマラセチア菌が増殖して感染を起こし、炎症や痒み、脱毛などを引き起こす病気です。
膿皮症と同じように湿度の高い環境で起こりやすいため蒸れやすい耳の中や、舐めたり掻いたりしやすい足先や内股などに多く見られます。
皮脂の分泌が多い場合も起こりやすいため、お薬の他に食事での治療やシャンプーによる治療を行います。
アトピー性皮膚炎
環境中のアレルゲンに対し過剰な反応を起こすことにより、主にお腹や足先、顔周りに痒みが現れるアレルギー性の皮膚炎です。
遺伝や免疫異常など様々な要因も関与しており、主に柴犬、ウエストハイランドホワイトテリア、フレンチブルドッグ、シーズーなどに起こりやすいといわれています。
基礎疾患があったり皮膚のバリア機能が低下している場合にも起こりやすいため、皮膚炎の治療とともに基礎疾患の治療やシャンプーなどによるスキンケアを行います。
皮膚糸状菌症
カビの一種である皮膚糸状菌が皮膚や爪、毛などに侵入し増殖して発症する病気です。
発疹やフケが見られ、進行するにしたがって円形状の脱毛が見られるようになります。
感染が疑われる部位の毛を抜いて顕微鏡で観察する検査や、ウッド灯という光を用いた検査、特別な培地を用いた真菌培養検査などを行い診断します。
内用薬や必要に応じて外用薬での治療を行います。
皮膚糸状菌症は免疫力が低下している人にも感染する恐れがあるため、おうちのワンちゃん・ネコちゃんが皮膚糸状菌症と診断された場合は
触った後に手洗いをするなど感染を広げない対策をすることも大切です。
最後に
今回お話した皮膚炎は、気付くのが遅れてしまうと重症化したり、長期にわたる治療が必要になることもあります。
日頃からコミュニケーションの一環としておうちの子のカラダを触ったり、被毛や皮膚の様子をよく見てあげましょう。
そうすることで皮膚トラブルだけでなく、しこりやできものを発見するなどカラダの変化に気付くこともできます。
皮膚を痒がる様子が見られたり、脱毛や赤みなど何か気になることがあれば動物病院へご相談ください。