ブンチョウについて

ブンチョウは、“スズメ目 カエデチョウ科 キンパラ属”の分類されるフィンチです。
日本には、中国を経て江戸時代初期ごろ渡来したといわれています。野生では、お米を常食することから“ライスバード”とも呼ばれることがあります。カラーは原色以外にも“桜・白・シナモン・シルバー・パイド”などが作出され、近年ではさらにバリエーションが増えてきています。比較的丈夫で育てやすい種類のため、昔から日本でのペットとしての人気はトップクラスです。ヒナから育てることによって、人に非常によくなついてくれることも大きな魅力です。一般的には、相性が合った場合オス・メス関係なく仲良しになりますが、相性が合わない場合は激しいケンカをしてしまったり、嫌いな相手といることによって、大きなストレスを感じてしまいます。このように、はっきりした相性がわからない場合、無理に複数同じケージで生活させることはやめましょう。様子を見ながら、気の合う鳥同士、もしくは1羽で飼育することをおすすめします。
ブンチョウの平均寿命は、7~8年といわれています。だだし、飼育状況や環境によっては最長18年以上生きたという例もありますし、逆に体質が弱かったり、病気などで長生きできない場合もあります。いずれにせよ、ブンチョウたちが幸せに天寿をすごせるように、飼い主さんは大切に育ててください。

飼育セットをそろえる

ブンチョウを迎える前に、育てるために必要なセットを用意し、用品ひとつひとつの用途を把握しておきましょう。

ヒナの飼育セット

  • 飼育ケース
  • 床材
  • あわ玉
  • グリーンフード
  • カルシウム
  • エサ入れ
  • 子育てスポイト
  • 飼育本
  • ヒーター

成鳥の飼育セット

  • 飼育ケース
  • 床材
  • ブンチョウ用混合フード
  • 野菜
  • ボレー粉
  • エサ入れ
  • エサ入れ
  • 水入れ
  • 菜差し
  • ボレー粉入れ
  • 止まり木
  • 水浴び容器
  • 飼育本
  • ヒーター

ヒナ用のケースから、ケージに切り替えるポイント

ブンチョウは、個体差よって多少異なりますが、生後約2ヶ月で全体の羽が生えそろい、バタバタと羽ばたく練習をはじめます。練習をはじめてから何日かすると、ケースから飛び出すことができるようになります。そのタイミングで、プラスチックケースや水槽から、成鳥用のケージに環境を移します。
早すぎても遅すぎても失敗してしまいますので、タイミングと環境をうまく調節しましょう。そして、突然成鳥と同じ環境にしてしまうと、ストレスや事故がおきてしまう危険性があります。以下の点を守って切り替えるようにしましょう。

金網は使わない!

鳥用のケージの底には“金網”がついています。ケージに切り替えたばかりのとき、まだ止まり木になれていないヒナは、下にいることが多いのです。そのため金網をつけたままにしておくと、足をはさんで骨折してしまう危険性があります。
ヒナのときの生活スタイルを再現できるように、金網は必ず取り外して使用しましょう。そして底には、ブンチョウがうまく飛べるようになるまで、今まで使っていた床材を敷きます。

止まり木は低い位置に1本!

まだ止まり木になれていないヒナは、高い位置にある止まり木から、落下してしまう危険性があります。はじめは、必ず低い位置の1本だけ設置し、安定して止まれるようになったら、もう1本の止まり木を高い位置につけましょう。

エサは食べやすい位置に置く!

この時期はブンチョウにとって、ヒナ用のごはんを成鳥用のごはんに切り替える時期でもあります。そのため、まだ付属のエサ入れでは位置が高すぎたり、底が深すぎたりして食べづらい場合があります。今まで使っていたヒナ用のエサ入れを引き続き使用して、少しずつ環境になれてきたら付属のエサ入れに切り替えましょう。

ヒーターを使用する!

ケージは、今まで使っていたプラスチックケースより、保温性が低いため、適温24~26℃を保つため、ケージにもペット用のヒーターを設置しましょう。

どんなごはんをあげたらいいの?

生後約20日~2ヶ月のブンチョウたちは、食事の内容も成鳥とは全く異なります。ヒナは、生後が浅ければ浅いほど、1日の差し餌の回数も多く、目が離せません。ヒナの体力を消耗させないように、1回の食事時間もスピーディー、なおかつ確実に済ませなければなりません。そして、成長に応じて少しずつ内容を切り替え、最終的に生後約2ヶ月半~3ヶ月には、成鳥と同じ食事ができるよう、タイミングや内容を調節します。
こういった手間や時間を惜しまず、愛情をもって育てれば、丈夫に育ち、とってもよくなついてくれることでしょう。

ヒナの食事

●お水
ふやかしたあわ玉のみを食べている期間は必要ありません。

●回数と時間
生後や体調、1度に食べさせる量によって回数が異なります。ブンチョウのヒナを購入する際には、必ず食事の内容や回数をスタッフに教わりましょう。

※ヒナの食事のつくり方・与え方には、さまざまな方法があります。そして、ヒナは非常にデリケートなため、突然食事の内容や量、回数などが変わると体調を崩す場合があります。詳しい方法は、必ず購入したお店のスタッフに確認しましょう。

※食事内容の切り替え時期は、個体差がありますので下記とは異なることがあります。

※それぞれつくり方などの詳しいご質問は、お店スタッフにお気軽におたずねください。

●生後20日~1ヶ月半(ヒナ)
生後の浅いヒナには、専用のスポイトなどで直接食べさせます。(これを“差し餌”といいます)

1.あわ玉(ペットリン)
ヒナ用のあわ玉に、栄養剤などを添加し、お湯でふやかした状態で与えます。栄養剤を入れたあと、熱めのお湯を入れ、人肌程度になったら与えます。(専用のスポイトなどで口まで運びます)差し餌は腐りやすいので、毎回新しくつくり直しましょう。
※必ず人肌程度に冷めてから与えましょう。

2.グリーンフード
ビタミン補給のために、ごく少量をあわ玉に入れます。

3.カルシウム
カルシウム・ミネラル補給のために、ごく少量をあわ玉に入れます。

●生後約2~3ヶ月(中ビナ)
中ビナになると、徐々に成鳥用の食事を練習する時期となります。少しずつ差し餌の回数や量を減らし、自分で食べるように促します。そのため、練習用に成鳥用の“むき餌”と水も用意しましょう。

※食事の切り替えは、方法やタイミングが重要となります。詳しくはお店スタッフにおたずねください。

1.あわ玉
ヒナ用のあわ玉に、栄養剤などを添加し、お湯でふやかした状態で与えます。栄養剤を入れたあと、熱めのお湯を入れ、人肌程度になったら与えます。(専用のスポイトなどで口まで運びます)差し餌は腐りやすいので、毎回新しくつくり直しましょう。この時期から、少しずつ回数と量を減らします。
※必ず人肌程度に冷めてから与えましょう。

2.グリーンフード
青菜の代わりとなります。ビタミン補給のために、ごく少量をあわ玉とむき餌に入れます。

3.カルシウム
ボレー粉の代わりになります。カルシウム・ミネラル補給のために、ごく少量をあわ玉とむき餌に入れます。

4.むき餌
成鳥用の食事の練習として、食べやすい食器に入れて置いておきます。乾燥したフードなので、この時期から飲み水も用意するとよいでしょう。むき餌になれてきたら、徐々に殻のついたフードも混ぜていくとよいでしょう。
※こういった方法で、段階を踏んで、最終的に成鳥用の混合フードを食べられるように促します。

成鳥の食事

●お水
いつでも新鮮なものが飲めるようにしましょう。水は汚れが早いため、こまめに取り替えるようにしましょう。

●回数と時間
朝1回。夜は寝てしまうので、朝、新鮮なものに取り替えます。ブンチョウの体は代謝がよく、よく食べよく排泄する仕組みになっています。そのため、満足に食事の摂れない時間があってはいけません。

●生後約3ヶ月以上(若鳥~成鳥)
成鳥の食事に内容が切り替わるのが、生後約3ヶ月となります。バランスのよい食事を心がけましょう。

1.ブンチョウ用混合フード
ブンチョウ専用混合フードもしくはフィンチ用混合フードを選びましょう。鳥は食べる際に、エサを散らかしてしまう習性があるため、食べきる量より少し多めに与えましょう。

2.野菜
ビタミンの補給に、新鮮な青菜を与えましょう。
青菜には食欲増進効果もあります。
野菜 : 小松菜、チンゲンサイなど

3.ボレー粉
カルシウム・ミネラルの補給として、ボレー粉を小さな容器に入れて与えます。汚れたり、細かくなってきたら取り替えます。食べない場合には、主食に混ぜて与えてみるとよいでしょう。

ブンチョウの病気について

ブンチョウのように小さな動物は、飼い主さんが病気やケガに気が付いたときには、手遅れとなってしまうことがあります。それを防ぐためには、普段からの健康管理がとても大切です。毎日ブンチョウの様子を観察し、天候や与えた食事、食べた量などを日誌につけておくと、病気になったとき獣医さんが診察するのにとても役立つことでしょう。ここでは、症例として多い病気を取り上げ、症状・原因・予防の代表例を紹介します。

MEMO

ブンチョウの下痢について(消化器系疾患)

一般的に、ブンチョウが体調を崩す最も多い原因として、【消化器系疾患(主に下痢)】 があげられます。ブンチョウの下痢は人間とは違い、体力のないヒナはそれが原因で最悪の場合、命をおとす危険性があります。
下痢といっても原因はさまざまです。その中でも、何らかのストレスにより、抵抗力が低下することによって下痢を引き起こすことが多く、それは生後の浅いヒナや、老齢のブンチョウに多くみられます。大きなストレスを与えたり、小さなストレスでも積み重なると、通常なら跳ね除けることができる細菌やウイルスに感染してしまい、思わぬ病気が発症してしまいます。そのほかにも、飼育環境の温度が低すぎるなどの問題で、お腹を壊してしまうこともあります。
はじめの [鉄則3] にもあるように、日ごろからペットにとってよりよい環境を整えることが、最も大切な予防となるのです。

MEMO

ブンチョウに多い病気

トリコモナス:嘔吐、くしゃみ、結膜炎、食欲不振、体重減少など

内容
トリコモナス原虫の感染によって発症します。とくにヒナや若鳥に多い病気です。感染初期は“そのう”に寄生し、食道から副鼻腔などにも寄生していきます。ヒナなどに多い症状として、食欲がなくなり、吐きもどしをはじめます。吐きもどすものがなくても、そのような行動をとったり、羽を膨らませてじっとしていることが多くなります。

感染経路
経口感染(感染した親から口移しの食事や、感染した鳥の唾液などを何らかのかたちで口にすることにより感染)

予防方法
健康体の鳥は感染しても症状がありません。低力や抵抗力のないヒナなどは発症しやすいといえます。そのため、ヒナの場合、感染の恐れがある鳥との接触を避け、体力を蓄えるように、落ちついた環境で育てることが大切です。体力がある時期の治療は難しくないため、早期発見・治療を心がけましょう。

クラミジア症:下痢、くしゃみ、鼻水など

内容
クラミジアという微生物が感染して発症します。この病気は“オウム病”とも呼ばれ、鳥以外にも感染する人獣共通感染症です。鳥の場合、元気がなくなり、羽を膨らませてじっとしていることが多くなります。人に感染した場合、インフルエンザのような症状に似ています。感染しても早期発見・治療すれば恐ろしい病気ではありませんが、飼い主さん・ペットには注意が必要です。

感染経路
感染した動物から、口移しで食べ物を食べたり、その便や分泌物が乾燥し、ホコリ状になったものを吸い込むことによって感染。

予防方法
健康体の鳥は感染しても症状がありません。体力や抵抗力のないヒナなどは発症しやすいといえます。そのため、ヒナの場合、感染の恐れがある鳥との接触を避け、体力を蓄えるように、清潔な落ちついた環境で育てることが大切です。体力がある時期の治療は難しくないため、早期発見・治療を心がけましょう。なお、人にも感染するため、どんなにかわいくても、ペットにキスをしたりすることはやめましょう。

そのう炎:嘔吐、下痢、そのう部分の異常など

内容
“そのう”が炎症を起こし、うまく機能しなくなる病気です。細菌や真菌(カビ)、トリコモナスなどがそのうに感染する場合と、適切でない食事をしていることが原因となる場合があります。ヒナのあわ玉には卵黄がコーティングされ、お湯でふやかして与えます。そのため、長時間放置してしまうと、大変腐りやすいのです。なお、消化吸収しにくい不適切な食事をさせてしまうと、そのうの中でフードが腐ってしまい、そのう炎を引き起こす可能性があります。 症状として、あくびや、ケージにくちばしをすりつけるような行動を繰り返したり、下痢や吐きもどしをするようになります。

感染経路
感染した動物から、口移しで食べ物を食べたり、その便や分泌物が乾燥し、ホコリ状になったものを吸い込むことによって感染(古いエサや人間の食べ物を食べてしまった場合にも症状がでることもある)

予防方法
人間の食べ物は与えないことはもちろん、食事はその都度新鮮なものに取り替えるようにしましょう。鮮度も大切ですが、食事の回数、1度に与える量の調節も重要です。1度に無理やりたくさんそのうにため込んでしまうと、次に差し餌をする際に、前回のフードが消化されていないことがあります。そこに続けて与えてしまうと、前のフードが腐ってしまうことがあります。なお、食事の温度や室温が低いと、ヒナの消化機能が低下してしまうので注意しましょう。

ジアルジア症:軟便、切れの悪い便、視力障害、食欲低下、毛引きなど

内容
ジアルジア原虫の寄生によって発症します。元気がなくなり、食欲低下や黄緑色の軟便をする回数が増えます。その軟便は切れが悪いため、肛門にぶら下がってしまうことが多く見られます。健康状態の良好である個体には、感染しても症状が見られず、低力や抵抗力のないヒナなどは発症しやすいといえます。

感染経路
経口感染(感染した動物が排泄した糞便に含まれるジアルジアを、何らかのかたちで口にすることにより感染)

予防方法
健康体の鳥は感染しても症状がありません。低力や抵抗力のないヒナなどは発症しやすいといえます。そのため、ヒナの場合、感染の恐れがある鳥との接触を避け、体力を蓄えるように、清潔な落ちついた環境で育てることが大切です。毎日便の状態をチェックし、早期発見・治療を心がけましょう。

注意

紹介した病気のほとんどが、健康な個体もしくは1度治療をして回復した個体であっても、ストレスや飼育環境の悪化によって再度発症してしまうことがあります。日ごろから健康チェックで便などの状態を観察し、症状の早期発見を心がけましょう。異常を発見した場合は、すぐ購入したお店のスタッフまでご相談ください。

ペット図書館トップ